蕁麻疹とは
蕁麻疹とは、突然、皮膚の一部にくっきりとした、蚊に刺されたような赤い盛り上がりが生じ、かゆみ・チクチクした痛み・灼熱感などを伴う病気です。最大の特徴として、発症後数十分~数時間で、症状が跡形もなく消失するという点が挙げられます(稀に、続くものもあります)。
赤い盛り上がりの1つ1つは数ミリ程度ですが、盛り上がり同士がくっつき、数十センチほどに拡大することもあります。
蕁麻疹の原因
食物・食品添加物
- サバ、エビ、カニなどの魚介類
- 鶏卵、牛乳、チーズなどの卵・乳製品
- 豚肉、牛肉、鶏肉
- 大豆、小麦、蕎麦などの穀物・野菜
- 人工着色料、防腐剤
薬剤
- 抗生物質
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬
(アスピリンなどの痛み止め) - せき止め
刺激
- 下着や衣類による摩擦や圧迫
- 寒冷、温熱刺激
- 紫外線
その他
- イラクサ、ゴムなどの植物
- ハチなどの昆虫
(に刺される・咬まれる) - 運動、発汗
- 甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病
- ストレス、過労
蕁麻疹の種類について
蕁麻疹は、その病態や原因によって、以下のように分類できます。
急性蕁麻疹
発症して6週間以内の、ほぼ毎日繰り返される蕁麻疹です。
細菌やウイルスの感染が原因になっているケースが多くなります。
慢性蕁麻疹
発症して6週間以上が経過している、ほぼ毎日繰り返される蕁麻疹です。
急性蕁麻疹とは異なり、原因が特定できないケースがほとんどを占めます。
物理性蕁麻疹
摩擦、圧迫、寒冷・温熱、紫外線、振動などの刺激を原因として発症する蕁麻疹です。
これらの刺激を避けることが大切です。
コリン性蕁麻疹
発汗作用により発症する蕁麻疹です。
若年層での発症が目立ちます。
アレルギー性蕁麻疹
食物、薬剤、昆虫などがアレルゲンとなって発症する蕁麻疹です。
血液検査などのアレルギー検査にてアレルゲンを特定することが可能です。
アスピリン蕁麻疹
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、人工着色料、造影剤などを原因として発症する蕁麻疹です。
アレルギー性蕁麻疹とは異なり、IgEは関与しません。
食物依存性運動誘発
アナフィラキシー FDEIA
特定の食物を食べた上で、その食後(2~4時間以内)の運動を行うことで蕁麻疹や喘息が現れるアレルギーです。重症化し、ショック状態に陥ることもあります。原因となる食物としては小麦がもっとも多くなりますが、エビやカニなどの甲殻類、果物が原因となることもあります。10~20代の、活動量の多い人によく見られます。
血管性浮腫
(クインケ浮腫)
瞼、唇などに、かゆみを伴わない腫れが現れ、2~3日で消失します。
遺伝を原因とすることがあります。
蕁麻疹の検査と治療
検査
アレルギーなどが疑われる場合には、血液検査、プリックテスト、食物経口負荷試験などを行います。ただし、アレルギーを原因とする蕁麻疹はごく一部であり、多くは問診・視診による診断が可能です。
蕁麻疹が出た時の状況も、診断の際には大切な情報となります。思い当たる原因があったかどうか、症状の内容、症状が続いた時間など、分かる範囲で医師にお伝えください。
治療
原因が特定できた場合には、その原因の除去を行います。
ただし、大半は原因を特定できません。その場合は、抗ヒスタミン薬の服用、かゆみ止めの塗布などの薬物療法を行います。抗ヒスタミン薬によって症状が治まっても、医師が指示した期間(3~5日)は服用を継続してください。
蕁麻疹の予防
原因が特定できている場合には、その原因の除去することが治療および予防となります。
具体的には、原因となる食物を摂らない、原因となる刺激を避ける、使用している薬の種類を変更する、下着・衣類の素材を見直す・圧迫の強いものを避ける、過度の運動や発汗を避ける、といったことが挙げられます。